テラス囲いを、「サンルーム」と称して販売しているケースもありますが、厳密に言うと、両者は違うものです。
テラス囲いは、洗濯物干し場やガーデンルームなどに活用されていますが、ただテラスがあるだけの状態よりも、利用価値が高まることは言うまでもないでしょう。
しかし、テラス囲いにはさまざまなものがあり、その価格もまちまちです。そのため、費用対効果を考えると、どれを選べばよいのか迷ってしまいがちです。まずは、どのようなタイプがあるのかを知り、どうすればその家にあったものを探すことができるのかを、考えてみましょう。
- テラス囲いにはいろいろな種類がある
- サンルームとの違いは気密性
- 設置条件がある
- 用途によってどのようなテラス囲いを設置するか決める
- DIYも可能だが、プロに頼るのがおすすめ
1. テラス囲いの種類
一口にテラス囲いと言っても、いろいろなタイプやサイズ、カラーなどがあり、そのバリエーションは非常に豊富です。自分に合ったタイプを選ぶことによって、殺風景だったテラスに、もう一つ自由空間ができるという楽しみを、もたらしてくれるのがテラス囲いなのです。
1.1. テラス囲いとは
テラスにはテラス屋根がありますが、テラス囲いとは、その屋根にガラスの扉を設置して、テラス全体を囲ったものを指します。サンルームとは気密性に違いはありますが、テラスをガーデンルームなどとして使う場合には、十分その目的に適うものとなっています。テラス屋根と違い、テラス囲いは設置できる場所とできない場所があります。それは、テラス屋根よりも「打ち付け部分」が多いためです。
テラス屋根だと、窓の上の部分に打ち付けするだけで良いのですが、テラス囲いの場合はガラス窓があるため、窓の側面にも打ち付けをしないと強度が保てません。しかし、すべてが覆われているというのは、テラス屋根のみの場合と違い、メリットが多くあります。
床納まりという形をとれば、リビングの延長といった感じで、ウッドデッキを使用することができます。また全体が覆われているので「PM2.5」などの大気汚染から、洗濯物を守ることもできます。
1.2. デザインのバリエーション
1階の設置タイプには、3つの納まりがあります。床納まり・土間納まり・リウッドデッキ納まりの3タイプです。
床納まり
リビングの延長として使用する場合の、テラス囲いのメインとなるのが「床納まり」です。リビングからそのままウッドデッキに出ることができるので、洗濯物干し場として使うには最適でしょう。値段も安価なため、人気のタイプです。
土間納まり
本来は外に置くのですが、それがためらわれてしまうような高級自転車を入れたり、タイルデッキなどの居心地の良い空間を構築したりするなど、さまざまな用途に使えるのが「土間納まり」です。ただし、下地がコンクリートやタイルでないと施工できないため、費用がかさんでしまうことが難点です。
リウッドデッキ納まり
天然木のような風合いが魅力の、人工木のデッキ材を使用したおしゃれな納まりが「リウッドデッキ納まり」です。高級感は出るのですが、コストは一番高くなってしまいます。
1.3. その他のバリエーション
デザインのバリエーションだけではなく、間口サイズや出幅サイズ、最近では窓が高いタイプも増えてきたことから、高さサイズにもさまざまなバリエーションがあります。また、カラーバリエーションも豊富に揃っていて、好みに合ったおしゃれな色合いを選ぶことができます。
さらに1階の設置タイプだけではなく、2階のバルコニー用設置タイプもあります。周りを全面窓で囲うだけでなく、目線が気になる方向けに、下半分だけをすりガラスで囲ったタイプもあります。
2. テラス囲いの価格相場は
テラスを設置するだけなら、比較的安価な価格で済みますが、このテラス囲いを設置する価格相場は、いったいどれくらいなのでしょうか。サンルームの価格相場とも、比較してみましょう。
2.1. 適度な費用相場のテラス囲い
大きさや屋根の形状、床の材質によって変わってきますが、一番費用が変動するのは材料費です。テラスに使用される材料は、主に木材・石材・タイルの3種類になります。
どの素材を選ぶかで費用が大きく変動し、とくに木材の場合は、安価な人工木から高価なヒノキやケヤキまで価格幅が広く、価格を決定づける要因といっても差し支えないでしょう。一般的な相場は、次のとおりです。
- テラスのみ:15万~25万円
- 屋根テラス:20万~35万円
- テラス囲い:30万~55万円
なお、屋根テラスとはテラスに屋根を付けたもので、周りの囲いがないと心配な方も多いことでしょう。屋根テラスは手軽に設置できて、よほどの強風や大雨でもなければ十分に機能を果たすので、より安価に収めたい人に人気の形状です。
2.2. より高価な費用相場のサンルーム
サンルームは、住宅の1室として認識されていますので、建築基準法に適したしっかりとした基礎の上に、設置する必要があります。そのため、地盤に問題があると補強工事を行うため、費用が余計にかかってしまいます。
サンルームだけ設置する場合と、用途別サンルームにする場合で価格が変わってきます。一般的な相場は、次のとおりです。
- サンルームのみ:50万~80万円
- サンルームと物干し:55万~90万円
- 気密性の高いサンルーム:100万~150万円
このように、サンルームには多額の費用がかかり、気密性の高いものだと、100万円以上かかることも。このことが、適度な金額で心地よい自由空間を作ることが可能なテラス囲いが、人気のゆえんでもあります。
2.3. テラス囲いの人気サイズ
大きさでも設置費用は変わってくるのですが、テラス囲いには人気のサイズがあります。2間(3600mm)×6尺(1800mm)がそのサイズです。
しかしこのサイズのテラス囲いは、大都会などの狭小地住宅では、建てることが難しいのが現状です。郊外の住宅で人気のサイズですが、使い勝手がよく金額的にも折り合いをつけやすいのは、50万円前後のモデルとなっています。
3. サンルームとの違いは
テラス囲いを設置するのとサンルームを設置するのとでは、費用面で大きな開きが出てきます。それでは、テラス囲いとサンルームの違いはどこにあるのでしょう。
3.1. 気密性が低いテラス囲い
似て非なるものであるテラス囲いとサンルームですが、一番の違いはその気密性です。テラス囲いの場合、サンルームのように密閉されておらず、ある程度の開放感があるため、適度な自由空間が演出できます。気軽にガーデンライフを楽しむ簡易的なテラスルームの位置づけとなり、一般的にはテラス囲いをテラスルームと呼ぶこともあります。
屋根は、RCカーなどにも使用されている、ポリカーボネートという割れにくい素材でできており、高い光線透過率で、屋根の下を明るく保つことができます。紫外線や熱をカットしてくれて、ガラスに比べ軽量なので、施工しやすいというメリットがあります。ただし、ガラスのような気密性や水密性を求めることはできません。
また、基礎工事はコンクリートで行わずに、テラス屋根の柱と補助柱だけで設置し、サッシなどの囲いを取り付けます。その分工事代も安く済み、全体的に費用も安価になります。
3.2. 気密性の高いサンルーム
サンルームは、屋根や壁がガラスで覆われているため、その気密性・水密性は高くなります。全面ガラス張りにした部屋なので、夏場などは太陽の光が入ると、熱くなり過ぎるきらいがあります。その場合、天井カーテンなどを用い、直射日光を遮る必要が出てきます。
しかし、建築基準に合うように、コンクリートでしっかりとした基礎工事をしているので、独立した建築物といっても差し支えありません。そのため、後からサンルームを取り付ける場合は、増築と考えたほうがよいでしょう。部屋のサッシと、同じくらいの機能を持ったサッシが使われることもあるほどです。
そのためサンルームの場合は、不動産登記法でいう床面積の条件「天井があり、3方向以上が壁やガラスなどで囲まれていて、床から一番高い天井までの高さが1.5m以上の部分」にあたるので、延べ床面積に含まれることになり、固定資産税がかかってきます。
テラス囲いの場合はグレーゾーンとなっていて、住んでいる市区町村や、担当者の判断によっても違ってくるようです。直接担当部署に足を運び、カタログ等や住宅の地面を持参して、確認したほうが間違いありません。
固定資産税は考慮せずに、ガラスとポリカーボネートという材質の違い・基礎工事の観点だけから考えても、総体的に費用がかかるのは、やはりサンルームということになります。
4. テラス囲いの選び方
テラス囲いは、安価で心地よい自由空間ですが、どのようなものを選べばよいのでしょうか。用途によって選ぶ基準も変わってくるので、自分の用途に合ったテラス囲いを探しましょう。
4.1. 用途を決める
まずは、用途を決めましょう。洗濯物干し場として使うのか、ガーデンルームなのか、ペット用なのか、子どもの遊び場なのかなど、さまざまな用途があります。その用途によって何階に設置するのか、材質はどうするのかなどの目安になるのです。
4.2. 納まりタイプを選ぶ
テラス囲いの納まりには3つのタイプがありますが、用途によって床納まりか土間納まりを選びます。植物を育てたり、ペットに水浴びさせたりなど、水を使う場合には土間納まりが適しています。しかし、それ以外では部屋の延長として、使い勝手のよい床納まりにするといいでしょう。
4.3. 床の種類を選ぶ
床の種類は大きく分けて2タイプがあり、塩化ビニルと人工木に分かれます。塩化ビニルは色あせてしまい、弱いイメージがあるため、最近では対候性の高い硬質塩化ビニルが採用されています。
人工木の場合は、硬質塩化ビニルより気密性に欠けますが、硬質塩化ビニル以上に対候性が高く、天然木に近い手触りが特徴です。気密性のよいものや安価なものを選ぶなら、硬質塩化ビニルがおすすめです。
4.4. 屋根の形状・材質を選ぶ
屋根形状は、アール型かフラット型の2種類です。設置条件によっては、どちらかしか取り付けられないこともあります。
屋根材のポリカーボネートには、一般タイプと熱線遮断(熱線吸収)タイプの2種類のタイプがあります。熱線遮断タイプは、さらに赤外線(熱線)を軽減する働きがプラスされるので、夏場をより涼しく過ごしたいという方には、熱線遮断タイプがおすすめです。
4.5. 窓を選ぶ
窓に関しては次の種類があります。
- 掃出し窓(テラス窓)
- 高窓
- 折りたたみ窓
- ルーパー窓
- ドア
一番普遍的で便利なのが、テラス窓と呼ばれる掃出し窓です。庭の出入りや、換気時の間口の開放性から言っても便利な窓です。
とにかく開口部を大きくして、広々と使いたいなら折りたたみ窓です。折りたたんだ戸は、外に畳まれて飛び出します。他の窓と違い、庭の敷地面積に余裕が必要となり、値段も少々高くつきますが開放感は最高です。
4.6. サイズ・色を選ぶ
サイズは、間口(横幅)と奥行(出幅)に分かれます。間口は90cmずつ区切られている関東間と、100cmずつ区切られているメーターモジュールがあります。奥行は尺で表されますが、最大270cm(9尺)となっており、実際に設置すると、思った以上に手狭に感じることがあります。人の行き来をスムーズにするためにも、大きめの設定がよいでしょう。
見た目はとても重要なので、テラス囲いの色をどうするかしっかり考えましょう。ナチュラルシルバーは明るい感じになり、ブラックは引き締まった印象を与えます。家の窓サッシの色と、同系統のものを選ぶとよいでしょう。
4.7. オプションを選ぶ
最後にオプションを決めます。用途によって必要なものが変わってきますが、洗濯物干し場として使用するなら、やはり物干しセットは必須です。
とくに夏場は、網戸も必要でしょう。換気時に余計な虫などを、部屋の中に入れないためにも網戸があるとよいでしょう。直射日光を遮る天井カーテンや、庭に降りるためのステップなども、必要に応じて注文するとよいですね。
5. プロにしっかり相談しよう
テラス囲いは、基礎工事をコンクリートで行わないため、しっかりとした設置工事がより重要になってきます。DIYで設置すれば安上がりで済みますが、雨漏り対策などを考えると、プロの業者に依頼するほうがよいのではないでしょうか。
5.1. プロに現地調査を依頼する
今あるテラスを利用してテラス囲いを設置するなら、まずはプロの業者に現地を見てもらい、対応を依頼するとよいでしょう。それというのも、テラス屋根にテラス囲いを設置する場合などは、テラス屋根が特定のものでなければならないなど、制限があるためです。
特定のテラス屋根
一つ目の制限がテラス屋根の形状です。テラス囲いを設置できるテラス屋根は、ヴェクターがベースになっています。ホームセンターオリジナルのテラス屋根では、テラス囲いを取り付けることができません。
テラス屋根の高さ
二つ目の制限がテラス囲いの高さです。テラス囲いはサッシが入ることによって、デッキ床から屋根までの高さが決まっており、動かすことができません。そのため、すでにテラス屋根があると、屋根の高さがちょうどよいなどということは望めず、屋根を一旦解体して高さが合うように、付け直さなくてはならないのです。
雨漏りの可能性
三つめが雨漏り対策です。テラス囲いは、左右と前面がガラス窓で囲われているため、少しでも傾いていると雨漏りにつながります。これは、柱の立て付けや屋根の傾斜などに、ほとんど遊びがないためで、DIYではテラス囲いの設置が難しいゆえんです。
5.2. 複数業者に見積り依頼を
プロの業者に現地を確認してもらったうえで、テラス囲いを設置すると安心なのですが、見積もりを1社だけに絞るのはいかがなものでしょうか。無料一括見積もりサービスの「ヌリカエ」を利用して、複数の業者から見積もりを取れば、よりよい業者に工事を依頼することができます。
6. いい業者と出会うために
工事をしっかりやってくれても、費用が高い業者もいるでしょうし、安い見積りで工事を受注してくれても、工事自体があまり良くない業者もいます。どの業者を選ぶかで、満足のいくテラス囲いを設置できるかが決まると言っても、過言ではありません。
6.1. エクステリア工事の一括見積もり依頼ができるヌリカエに
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